断捨離奮闘記 1
両親が暮らしていた北隣りの家が空き家になって3年半、どうしたものかあれこれ迷った挙句、南は子どもに渡し、北は自分で住むことにした。北の家は築80年、今どきの住宅に比べると居住性に劣り、老朽化している上に耐震補強も施さなければならないが、庭も含め今では復元の難しい造りで、自分が生まれ育った家でもあり、親の遺した物を目の前で潰す気にはとてもなれなかった。
できるだけ現状を残したまま、居住性と耐震性を上げてくれというのがそもそも矛盾しており、リフォーム会社とは契約が終わり、着工が迫ってもまだ決着がつかない。そのやりとりを続けながら、工事のための断捨離に取り掛かったが、これがまた大仕事になった。
私は物のあふれた生活が嫌いなので、この際、簡素ですっきり、必要最小限の物を残し、あとは捨てるのももったいないので、どこかでリユース、リサイクルしてもらえればと考えていた。そのつもりで、新聞折込のチラシに「高価買取」と謳ったあちこちの業者から選んで持ち込むと、上質の衣類が45リットルの袋に詰めて1山50円、海外旅行の折の免税品とおぼしき未開封のスコッチやブランデーが1本100円。
高価買取なんて書くなよと思ったが、まあそんなものかもしれない。それならタダでも使う人が見つかればいいからと、無料引き取りのリサイクル広場へ靴9足をダンボールに入れて運んだら、8足突き返された。善意のボランティア活動だと思ったら、なんのことはない無料で仕入れて売り物にする業者で、傷があると商品にならないと言う。「アフリカやアジアではハダシの人もたくさんいるんだよ」と捨てゼリフを吐きながら、なんで他人の商売のためにわざわざ広場に運び込ませるのかと納得がゆかない。
家具はさすがに持ち込めないので業者を呼んだら、1万2千円だの2万円だのと値が付く。買い取り代ではなく回収代としてこっちが払う代金だ。結構するんだね、と言ったら「市の粗大ゴミ回収サービスを頼むと安いですよ」と教えてくれた。
要するに、邪魔で処分に困っているんだろ、引き取ってやるよというのが、業者のスタンスらしい。限られた資源を大切にしましょうとか、エコライフなんて、誘い文句で言ってみるだけで、使い捨て時代に堂々と成り立つ商売のようだ。
軽い衣類や数の知れた洋酒や靴などの扱いはまだ序の口。両親が暮らした80年の間に溜まりに溜まった食器や本、電化製品、日用品、趣味の道具が山ほど控えている。こうなると業者なんか相手にしていられない。まず可燃ゴミの赤袋、資源ゴミの青袋を各100枚、不燃ゴミの緑袋を20枚、買い込んだ。(つづく)
できるだけ現状を残したまま、居住性と耐震性を上げてくれというのがそもそも矛盾しており、リフォーム会社とは契約が終わり、着工が迫ってもまだ決着がつかない。そのやりとりを続けながら、工事のための断捨離に取り掛かったが、これがまた大仕事になった。
私は物のあふれた生活が嫌いなので、この際、簡素ですっきり、必要最小限の物を残し、あとは捨てるのももったいないので、どこかでリユース、リサイクルしてもらえればと考えていた。そのつもりで、新聞折込のチラシに「高価買取」と謳ったあちこちの業者から選んで持ち込むと、上質の衣類が45リットルの袋に詰めて1山50円、海外旅行の折の免税品とおぼしき未開封のスコッチやブランデーが1本100円。
高価買取なんて書くなよと思ったが、まあそんなものかもしれない。それならタダでも使う人が見つかればいいからと、無料引き取りのリサイクル広場へ靴9足をダンボールに入れて運んだら、8足突き返された。善意のボランティア活動だと思ったら、なんのことはない無料で仕入れて売り物にする業者で、傷があると商品にならないと言う。「アフリカやアジアではハダシの人もたくさんいるんだよ」と捨てゼリフを吐きながら、なんで他人の商売のためにわざわざ広場に運び込ませるのかと納得がゆかない。
家具はさすがに持ち込めないので業者を呼んだら、1万2千円だの2万円だのと値が付く。買い取り代ではなく回収代としてこっちが払う代金だ。結構するんだね、と言ったら「市の粗大ゴミ回収サービスを頼むと安いですよ」と教えてくれた。
要するに、邪魔で処分に困っているんだろ、引き取ってやるよというのが、業者のスタンスらしい。限られた資源を大切にしましょうとか、エコライフなんて、誘い文句で言ってみるだけで、使い捨て時代に堂々と成り立つ商売のようだ。
軽い衣類や数の知れた洋酒や靴などの扱いはまだ序の口。両親が暮らした80年の間に溜まりに溜まった食器や本、電化製品、日用品、趣味の道具が山ほど控えている。こうなると業者なんか相手にしていられない。まず可燃ゴミの赤袋、資源ゴミの青袋を各100枚、不燃ゴミの緑袋を20枚、買い込んだ。(つづく)